幕張(千葉県)

幕張で有名なイベント会場施設である「幕張メッセ」は、近年政府が推し進める「クールジャパン」の影の部分のお陰で、悪い意味で有名になった施設として今でも語り草になっている。1991年に起こった「コミケ幕張メッセ追放事件」と呼ばれるこの騒動は、およそ10年後に起こった東京都の「青少年健全育成条例」の改定騒動の際に引き合いに出され、条例の制定にも一部影響を及ぼしたとされている。その意味で、行政が創作物に関する介入すると、どういう顛末になるかを表す良い指標となっている。
事の発端は、「宮崎勤」に端を発して活発化していた「有害コミック騒動」に千葉県警が過剰反応して、その年に開催される予定であった「コミックマーケット」開催関係者とメッセの管理者を聴取したことで、メッセ管理者が厄介ごとは御免と言わんばかりにメッセでのコミケ開催をドタキャンしたことに始まる。その年のコミケは急きょ、晴海の旧「国際見本市」(2020年のオリンピック選手村建設予定地)で数年の疎開を行った後、「東京ビッグサイト」での開催が続いて行く。
さて、コミケを追放した幕張メッセだが、94年に制定された健全条例によりさらなる健全化を推し進めたのだが、その後は閑古鳥が鳴く結果に陥る。1990年には66%の稼働率が、2010年には34%にまで落ち込み、元々交通の便が悪かった上に東京ビッグサイトにイベントの大半を持って行かれた。2010年代の東京都の『青少年健全育成条例騒動』で数年ほどはアニメイベントが戻ったが、和解したため来年からはメッセでは行われない。県と市がメッセに投入する負担金は累計356億円になった。
「白河の清き流れに魚(うお)すまず 濁る田沼 の水ぞ恋しき」という狂歌がある。『健全性』を重んじる千葉県は、綺麗ごとだけでは誰も見向きもしないことを理解した方が良い。幕張メッセの現状はそのことを現実としてわたしたちに教えてくれているのだ。

 

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